2024年1月12日より、カイカイキキギャラリーでは大谷工作室による、およそ7年ぶりの個展「タニラタニラタニラ」を開催いたします。
美術大学で彫刻を学び、一時は陶芸の中心地である信楽の共同スタジオで作品を制作していた大谷工作室。現在は、淡路島にある元瓦工場を改装した巨大なスタジオで制作を続けています。
学生時代、休学して軽トラックで各地の美術館や寺社仏閣を巡り、美術・工芸を問わず、人が作ったものに心を強く動かされたという大谷。美術の専門家だけでなく、幅広い人々に向けた作品を制作したいという思いから「大谷工作室」という屋号で活動を始めました。その制作の幅は、陶芸技法で製作された彫刻作品から、ブロンズやFRPの立体作品、ペインティングに至るまで多岐に渡ります。通底しているのは、手触りのある確かなイメージが形になっていることではないでしょうか。
2016年の個展「僕が17歳の時、ジャコメッティの話を美術の先生に聞いて、彫刻に憧れ、僕は今、彫刻を作っています」では、セラミックの立体作品を空間にインスタレーションとして配置し、それがカイカイキキギャラリーでの初個展となりました。その展覧会をきっかけに数年をかけて出版された初の画集には、当時取り組み始めたペインティング作品も登場。その後、パリ、ニューヨーク、上海、ソウル、香港など、世界各地で展覧会を重ねていきました。初めはまだ慣れない気持ちで制作していたというペインティングも、サイズや表現、モチーフなどがどんどん進化していきます。
今回の展示のテーマは、作家オリジナルのキャラクターであるヒレと牙を持つ怪獣「タニラ」です。大谷の「谷」と「ゴジラ」の「ラ」から、「タニラ」と名付けられています。幼少期に自然史博物館の恐竜展で両親にヒサクニヒコの恐竜図鑑を買ってもらい、それを長く読んでいたという大谷。「後に彫刻を学び、粘土で形を探しているときにふとタニラが現れた」とのことです。そして、タニラはカイカイキキのソフビ工場でソフビとして造形されたり、ペインティングやセラミック、そしてブロンズやFRPのエディション彫刻としても頻繁に作中に登場するなど、作家が創造したアイコニックなキャラクターの一つとなっています。今回も大作のペインティングから、愛らしいセラミックの立体まで、多岐に渡る姿で登場します。会場でどのような姿に出会えるか、ぜひご期待ください。
なお、大谷工作室は現在、香港のペロタンギャラリーでも新作個展「Portraits」を開催中です。こちらは2024年2月17日まで開催予定で、自身のキャリアで初めてペインティングのみに焦点を当てた展覧会となっています。カイカイキキギャラリーでの個展と合わせて、ぜひご注目ください。